高額療養費制度(医療費の負担軽減制度)

新型コロナの感染者数がやっと落ち着いてきました。しかしながら、新型コロナで重症化した場合、長期間入院が必要になるみたいです。不幸にも長期入院した場合でも、高額になった医療費を軽減してくれる制度がありましたので忘れないうちに記載しておきます。

この制度は『高額療養費制度』といいます。幸い医療機関のお世話になることが少なかったため、医療費負担がどれくらい掛かるのかよく理解していません。いざというときのために自己負担額の軽減の仕組みを頭に叩き込んでおこうと思います。

1. 医療費について

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費の自己負担の割合は70歳未満が3割、70-74歳が2割、75歳以上は1割となっています。

2. 高額療養費制度とは

医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度のことです。
※入院時の食費負担や差額ベッド代等は含みません。

上限額は年齢・所得に応じて変わりますが、69歳以下のケースで下表にまとめました。

年収 ひと月の上限額(世帯毎)
1160万円以上 252,600円+(医療費-842,000)×1%
770~1160万円 167,400円+(医療費-558,000)×1%
370~770万円 80,100円+(医療費-267,000)×1%
370万円以下 57,600円
住民税非課税者 35,400円

例として年齢40歳、年収450万円の人が医療費50万円掛かった場合で試算してみます。

医療費50万円に対し、自己負担の割合が3割なので自己負担額15万円を支払います。しかし、高額療養費制度を利用すると自己負担上限額が82,430円となります。
計算式:82,430円 = 80,100円 +(500,000-267,000)× 1%)

そのため一旦窓口で自己負担額15万円を支払うのですが、上限額を超えた分(77,570円)が後日支給されます。

このような制度を恥ずかしながら知りませんでした。民間の医療保険も手厚いですが、国の制度も素晴らしかったのですね。
注意点としては高額療養費制度には申請期限があり、診療を受けた月の翌月の初日から2年となっています。病気から快復すると忘れがちなのでしっかりメモをしておきます。

3. 更に軽減する仕組み①世帯合算

同じ世帯の別の人が支払った自己負担額を合算して申請することができます。但し、合算申請が可能なのは自己負担額が21,000円以上のみになります。

文章ではわかりにくいので例を挙げます。

年齢40歳、年収450万円の人が医療費50万円掛かり、更に同一世帯の別の人(69歳以下)の医療費が10万円掛かった場合で説明します。

世帯の医療費は60万円なので自己負担額の合算額は18万円になります。しかし、自己負担の上限額が83,430円になるため上限額を超えた分(96,570円)が後日支給されます。
計算式:83,430円 = 80,100円 +(600,000-267,000)× 1%)

このようなケースは新型コロナに罹患した場合、当てはまると思います。新型コロナは家族間の感染が起きやすく、世帯全員が入院すると医療費が高額になると予想されるからです。しっかりとチェックしておきます。

4. 更に軽減する仕組み②多数回該当

病気が長期に渡った場合は自己負担額が更に下がります。仕組みは過去1年間で3回以上高額医療制度を申請した場合、4回目からは『多数回該当』に当たり、自己負担額は下がるようになっています。下表に更に軽減された後の各年収別の自己負担額を整理しました。

年収 ひと月の上限額(世帯毎)
1160万円以上 140,100円
770~1160万円 93,000円
370~770万円 44,400円
370万円以下 44,400円
住民税非課税者 24,600円

申請先は国民健康保険の場合は市区町村に、健康保険組合の場合はその窓口で可能です。

 

今回は69歳以下の家族世帯のケースで説明しましたが、もちろん70歳以上の世帯でも高額療養費制度は利用できます(上限額の計算が多少違います)。
但し、69歳以下の健康保険の被保険者(サラリーマン)と75歳以上の後期高齢者医療制度の被保険者の家族では医療費の世帯合算の対象外となるので注意が必要です。

 

新型コロナの自粛生活で生活に掛かるお金についていろいろ調べることができて非常に有意義でした。強固な配当金ライフを構築するために利用できる制度を有効活用し、資金を捻出していくつもりです。

尚、全員が対象ではないのですが、健康保険組合によっては『付加給付制度』も追加で利用することができます。この制度を利用することによって更に自己負担額が減りますので是非自分が対象か確認することをオススメします。

私の経験が皆さんの役に少しでも立てば幸いです。金融資産を少しでも効率的に運用してゆとりある生活につながればと思います。