厚生年金保険料の特例措置は申請すべきか

新型コロナによる休業で報酬が著しく下がった場合、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額を特例により翌月から改定可能と報道がありました。

会社からもこの特例を受けるか否か打診されましたが、メリット・デメリットをしっかり調べてから決めようと思います。

☆メリット

社会保険料(健康保険・厚生年金保険料)の算定基準となる標準報酬月額が下がるため、申請後は毎月の社会保険料の支払額が軽減されます。

☆デメリット

標準報酬月額から算定される年金支給額、傷病手当金、出産手当金に影響が出てきます。

メリット、デメリットを例を挙げて確認してみます。

例を挙げて説明

例)標準報酬月額が560,000円⇒360,000円に減額

メリット

社会保険料

毎月の社会保険料が51,240円から32,940円に減額されるので18,300円プラスとなります。1年では219,600円のプラスでなかなかです。

デメリット

年金受給額

年金納付額が単純に月18,300円、1年で219,600円少なくなるため年金を20年貰うと仮定すると、月915円少なくなります。
(利率を無視した計算ですが、それでも月1,000円程度だと思います)

傷病手当金

傷病手当金の等級が32→25に下がり、傷病手当金日額も12,447円⇒8,000円と下がります。会社が休みの日も支給されるため月30日で計算すると貰える額が133,410円少なくなります。

出産手当金

傷病手当金と同じ考えなのでほぼ同じ額133,410円少なくなります。

以上をまとめると

月単位の変動額 適用期間
メリット 社会保険料 18,300円 1年
デメリット 厚生年金 -915円 20年
傷病手当金 -133,410円 4日以上
出産手当金 -133,410 約3ヵ月

上記表を見ると、申請すると不利になることもあります。

申請でメリットが小さいのは持病で会社を休まざるを得ない方や出産を控えている方です。くろいぬの場合はメリットの方が多く申請した方がお得だと思われます。

 

落とし穴がないのかもう少し調べてみました。標準報酬月額が関与する項目で調べてみると遺族年金も大きく影響することが分かりました。

遺族年金は支給期間が20年と長期に渡ります。標準報酬月額の増減が支給額に大きな影響を与えるので注意が必要です。

今回、メリット・デメリットを比較した結果、くろいぬは今回の厚生年金保険料の特例措置を申請しないことに決めました。

新型コロナで命を落とす可能性は低いと思いますが、安心を買っておくこととします。

しかし、普段全く気にしていなかった諸手当の隠された役割を理解できたのは大きな収穫でした。配当金ライフを構築していく上で制度を理解し上手に活用していく重要性を改めて認識しました。

私の経験が皆さんの役に少しでも立てば幸いです。金融資産を少しでも効率的に運用してゆとりある生活につながればと思います。