コロナを契機に在宅勤務に切り替わった人も多いと思います。通勤から解放される一方、年金受給額が減る可能性についての記事がありました。
全く関係なさそうなのになぜ!?と思いましたが、どうやら通勤手当の減少によるものだそうです。仕組みは次のようになっています。
通勤手当など企業から支払われる諸手当は社会保険料を算出する報酬月額に含まれます。つまり、これら諸手当は賃金の一部として位置づけられています。そのため通勤手当が減れば、報酬月額も下がり社会保険料も下がる可能性が出てくるという話になっています。
では通勤手当の減少でどれくらい下がるのか調べてみました。
まず、報酬月額と厚生年金保険料の支払い額の対比表を載せます。
厚生年金保険料の半分が会社、半分が加入者本人が支払うのが基本です。しかし、加入する基金によって2.4~5.0%更に負担が軽くなるので気になる方は問い合わせた方が良いです。この2.4~5.0%負担軽減された分は会社持ちとなります。
報酬月額と厚生年金保険料の支払額の対比表 | |||
厚生年金保険料の支払い額 | |||
等級 | 報酬月額(万円) | 全額(円) | 折半額(円) |
15 | 21-23 | 40,260 | 20,130 |
16 | 23-25 | 43,920 | 21,960 |
17 | 25-27 | 47,580 | 23,790 |
18 | 27-29 | 51,240 | 26,620 |
19 | 29-31 | 54,900 | 27,450 |
20 | 31-33 | 58,560 | 29,280 |
21 | 33-35 | 62,220 | 31,110 |
22 | 35-37 | 65,880 | 32,940 |
23 | 37-39.5 | 69,540 | 34,770 |
24 | 39.5-42.5 | 75,030 | 37,565 |
25 | 42.5-45.5 | 80,520 | 40,260 |
26 | 45.5-48.5 | 86,010 | 43,005 |
27 | 48.5-51.5 | 91,500 | 45,750 |
28 | 51.5-54.5 | 96,990 | 48,450 |
29 | 54.5-57.5 | 102,480 | 51,240 |
30 | 57.5-60.5 | 107,970 | 53,985 |
31 | 60.5-63.5 | 113,460 | 56,730 |
首都圏の場合、通勤手当が月に1~2万円掛かります。しかし、在宅勤務に切り替わると通勤手当がなくなるため報酬月額が1~2万円下がり等級も1つ下がります。等級が1つ下がった場合、厚生年金保険料の支払額が4,000円~6,000円減少してしまい、将来受け取る年金額が少なくなるという仕組みです。
ざっくりした計算では等級が1つ下がった状態が30年間続くと将来受け取る年金受給額が年額4万~6万円ほど少なくなります。
※等級が下がることで厚生年金の支払い額は月額1,700~2,500円下がるため毎月の負担は減りますが将来の受取額が月額3,400~5,000円少なくなります
以上、通勤手当と将来受け取る年金受給額の関係について整理してみました。育児休業給付金の賃金月額の計算にも通勤手当が含まれるので受給される方はしっかり理解された方が良いと思います。
普段全く気にしていなかった諸手当の隠された役割を理解できたのは大きな収穫でした。配当金ライフを構築していく上で制度を理解し上手に活用していく重要性を改めて認識しました。
私の経験が皆さんの役に少しでも立てば幸いです。金融資産を少しでも効率的に運用してゆとりある生活につながればと思います。