20年5月末に改正年金法が成立しました。くろいぬの興味は個人型確定拠出年金(iDeCo)の拡充です。適用は22年10月からですが、本音は今すぐ開始してほしいものです。
今回の改正で個人型確定拠出年金制度(iDeCo)がどのように変わったのか整理してみました。
まず、個人型確定拠出年金について説明します。
1. 個人型確定拠出年金(iDeCo)とは
個人が自由に掛金を積み立てる年金制度です。但し、企業型の確定拠出年金に加入していると原則入れないため使い勝手の悪い年金制度でした。
主な特徴は以下の3つです。
- 掛金を運用/積み立てて原則60歳以降に受け取るしくみ
- 運用商品は投資信託や定期預金
- 節税メリット(掛金が全額所得控除の対象、分配金及び受取り金は非課税)
次に今回の制度変更により何が変わるのかについて説明します。
2. 法改正による変更点
変更点は7項目ありますが注目するのは以下2点です。
・企業型確定拠出年金に加入している人(主にサラリーマン)でも個人型確定拠出型年金に入れる
(今までは企業型、個人型のどちらかしか加入できませんでした)
・加入期間が60歳から65歳に延長
(節税期間が増えるので積み立て効果が高まります)
iDeCo拡充は22年の10月より適用開始になります。
3. 個人型拠出年金への拠出上限額
まず、企業型と個人型を併用する場合の拠出上限額について説明します。拠出上限額(企業型+個人型)は勤務先の企業年金(確定給付企業年金 or 厚生年金基金)の有無で異なります。企業年金が有る場合は拠出上限額が27,500円、企業年金が無い場合は55,000円になります(下記表参照)。
企業年金の有無 | 制度名称 | 拠出上限額 |
有り | 確定給付企業年金 or 厚生年金基金 |
27,500円 |
無し | 企業型DCのみ採用 (退職一時金 or 中小企業退職金共済を併用) |
55,000円 |
次に、企業型と個人型を併用する場合の個人型に拠出できる額について説明します。併用する場合、個人型に拠出できる額は拠出上限額から企業型への拠出額を引いた値になります。ここで注意が必要なのは個人型への拠出額には上限があることです。企業年金が有る場合は12,000円で無い場合は20,000円となります。
言葉では分かりにくいので例を挙げて説明します。
1. 企業年金がある場合(制度:確定給付企業年金 or 厚生年金基金)
例 | 拠出上限額 | 企業型への拠出額 | 個人型への拠出額 |
例1 | 27,500円 | 20,000円 | 7,500円 |
例2 | 27,500円 | 10,000円 | 12,000円 |
※個人型への拠出上限額は12,000円 |
例1は問題ないのですが、例2では注意が必要です。例2では個人型への拠出額は17,500円になるはずです。しかし、個人型への拠出額には上限が12,000円と決められているので5,500円分の枠を余らせることになります。
2. 企業年金が無い場合
(制度:企業型DCのみ採用もしくは退職一時金 or 中退共を併用)
例 | 拠出上限額 | 企業型への拠出額 | 個人型への拠出額 |
例3 | 55,000円 | 35,000円 | 20,000円 |
例4 | 55,000円 | 30,000円 | 20,000円 |
※個人型への拠出上限額は20,000円 |
例3は問題ないのですが、例4では注意が必要です。例4では個人型への拠出額は25,000円になるはずです。しかし、個人型への拠出額には上限が20,000円と決められているので5,000円分の枠を余らせることになります。
以上、22年10月より施行される個人型確定拠出年金(iDeCo)の拡充について説明をしてきました。配当金ライフの構築と同じくらい年金運用も重要だと認識しています。法改正で65歳まで掛け金の拠出が可能になりましたので準備万端にして運用を始めていくつもりです。
今回の法改正で個人型確定拠出年金を始める人が増えると思います。くろいぬが加入している企業型確定拠出年金の商品はお世辞にも魅力的な商品が揃っていません(手数料が高いです)。しかし、利用する人が増えれば勤務先が準備した企業型確定拠出年金の商品の乏しさが明白になり、魅力的な商品に変更される契機になると期待しています。そういった意味でも今回の法改正には非常に満足しています。
私の経験が皆さんの役に少しでも立てば幸いです。金融資産を少しでも効率的に運用してゆとりある生活につながればと思います。