配当金ライフには欠かせないNISAについて整理しました。
メリットばかり強調されますが、デメリットも含めて再度確認してみます。
1. NISAとは
金融庁HPには個人投資家のための税制優遇制度で、毎年120万円の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象とあります。
簡略すると投資した利益及び配当金の税金が免除されること。そして、投資上限は年間120万円となります。適用期間は5年間です。
※株式・投資信託等の配当・譲渡益等の課税率は20.315%
2.準備(口座開設)
証券会社、銀行でNISA口座を開設できます。株式を購入する場合は証券会社を選択することになります(銀行は投資信託のみ取り扱い)。
注意点はNISA口座の開設は1か所しかできません。従って、購入予定の商品を取り扱っているか確認してから申し込みをしてください。
NISA口座の証券会社(銀行)を変更する場合は翌年以降になるためご注意を。
3.運用開始
1.口座区分の選択
NISA口座開設後、まず口座の区分を選択します。選択肢は①一般NISA ②つみたてNISA の2つです。
それぞれの特徴を比較表にしました
①一般NISA | ②つみたてNISA | |
年間投資上限額 | 120万円 | 40万円 |
非課税期間 | Max5年 | Max20年 |
運用商品 | 国内株式、海外株式、投資信託 | 投資信託 |
国内株や外国株(ETFも含む)を購入する人は①一般NISAを選択することになります。配当金ライフで活用しているのも一般NISAです。
もう一つの②つみたてNISAでは投資信託しか購入できません。投資信託は高分配(高配当と同義)商品でも利回りが4.0%以下なのでお勧めできません。
2.商品の購入
一般NISAを選択したケースで説明します。商品購入は年間上限枠(120万円)の範囲内で行います。120万円は上限ですので10万円だけ購入しても問題ありません。但し、購入枠を残しても翌年には繰り越せません。
3. 商品の運用
一般NISA口座で購入した商品の配当及び譲渡益が非課税となる期間は最長5年となります。すなわち2020年4月に購入した商品は2024年12月末日まで適用されます。商品運用のメリットのみ強調されていますが、ここではデメリットも併せて説明していきます。
最初にNISA口座のメリットを幾つか例を挙げて説明します。
例① 20年に株式を100万円で購入し、配当が年5.0%支払われる場合
1年間で支払われる配当金は5万円。通常は税金が20.315%掛かるため1万157円引かれます。しかし、5年間非課税が適用されるため5万785円の税金が全額免除されます。
例② 20年に株式を100万円で購入し、24年に120万円で売却した場合
譲渡益は20万円となり税金が20.315%掛かり4万630円引かれます。しかし、NISA口座では4万630円全額免除されます。もちろん売却までに支払われた配当金の税金も免除されます。
次にデメリットを例を挙げて説明します。
今回のコロナショックのように商品が値下がりした場合に当てはまります。売却タイミングで損になる場合があるのでご注意ください。
例③ 20年に株式を100万円で購入し、80万円で売却した場合
a. 売却を非課税期間内(24年12月末まで)に実施
20万円の損失に加えて、更にNISA口座以外の商品に掛かる税金が増える可能性があります。その理由はNISA口座の商品は損益通算適用外のためNISA口座以外の商品で利益が出たとしても損益通算できず税金を減らすことができないからです。
損益通算とは上場株式等の投資を行って利益(譲渡益や配当など)が出た場合は税金がかかりますが、一方で損失が出た場合には利益から差し引いて、その分だけ税金を減らすことができる制度。
これはどういうことかと言うと
★NISA口座以外で株式AとBを保有する場合
株式Aが20万円の損失、株式Bが10万円の利益となった場合、株式AとBの損益通算で10万円の損失となります。その結果、株式Bの10万円の利益に掛かる税金2万315円が免除されます。株式AとBの損失額は7万9685円となります。
★NISA口座で株式A、NISA口座以外で株式Bを保有する場合
株式AとBの損益通算が適用されず、株式Bの利益に税金2万315円が掛かります。株式AとBの損失額は12万315円となります ← 大きなデメリットです
このようにNISA口座で保有する商品は売却時に節税とならない可能性があります。そのため値動きの低い長期保有銘柄を選択するのが良いと思います。
b. 売却を非課税期間終了後(25年1月以降)に実施
非課税期間終了後、商品は一般口座に移されます。このとき、商品の購入価格が移管日当日の価格に変更となり、売却で税金が掛かる可能性があります。
例を挙げて説明すると
NISA口座で20年に株式を100万円で購入→ 一般口座に移管後の25年2月に80万円で売却。
通常なら20万円の損失で税金は掛からないはずです。しかし、このケースでは株式の買値が移管日当日の価格に変更するため移管日の株価が70万円だとすると10万円の利益となってしまいます。そして、利益10万の税金として2万315円支払う必要が出てしまうのです。
すなわち今回のケースでは株式の損失20万円+利益10万円の税金2万315円の合計22万315円の損失となります。
ただでさえ損失が出ているのに更に税金が取られるとは驚きの制度です。デメリットにならないように売却する際はタイミングに注意をしてください。
追記)上記デメリットを回避する手段としてロールオーバーという制度があります。これは非課税期間終了後も追加で最長5年継続保有できる制度です。
以上、NISAのメリットとデメリットを整理しました。デメリットを理解し、上手く使えば配当金ライフの大きな助けになる制度だと思います。
私の経験が皆さんの役に少しでも立てば幸いです。金融資産を少しでも効率的に運用してゆとりある生活につながればと思います。